スポット溶接の基本特性

スポット溶接は、接合したい金属の板をガン(スポットガン)の強い力で挟み込み、挟み込んだ部分に大電流を流すことで発生する抵抗熱で溶接する方法です。分かりやすくいうとアーク溶接のように“線”ではなくホチキスのように“点”で溶接を行うアプリケーションで、金属の板の接合に使用されています。

スポット溶接
スポットガン

大電流を流す板と板の隙間を無くすために非常に大きな電極で挟む必要がでてくるため、スポットガンは大きく重くなります。このため比較的大型で可搬質量が100キロ~200キロ程度のロボットが用いられています。

スポット溶接

スポット溶接が使用されている産業と最新動向

スポット溶接ロボットが最も多く使われているのはアーク溶接と同様に自動車産業です。自動車製造工程においては鉄製のボディーやドア等の溶接などに広く使われています。スポット溶接は、アーク溶接と比較して、より小さな面積を接合することができるため、小型の部品の溶接にも適しています。最近は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池車(FCV)など低燃費で環境に配慮したエコカーの登場によって、素材そのものが軽いアルミニウムや薄くしても強度が確保できるハイテン(高張力鋼板)など車体軽量化に向けた素材が採用され始めています。

スポット溶接

こういった素材を使用した自動車ボディーの溶接工程では、より融点を低くする代わりにより高い圧力でのスポット溶接が求められます。また最近ではエコカーのボディー溶接で軽薄化した3枚以上の金属を接合する要望を受けるなど、より高度な溶接技術が求められるようになっています。

スポット溶接

他にも、航空機の機体や高速鉄道車両のボディーの製造工程において使われているほか、一般産業で、家電製品の筐体の製造工程における金属接合など、広くスポット溶接による接合が行われています。

安川電機での取り組みとデータ活用

当社ではこのスポット溶接に最適なロボットや周辺機器をご用意しています。例えば自動車ボディーの周りにロボットが何台も囲む溶接工程では、近接設置にしてより多くの打点を1つのブースで溶接することができると、スポット溶接ラインの工程の長さが短くなって生産性が高まります。近接設置に対する製品ラインアップでは、アームを折り曲げて手前の溶接を行ったり、伸ばして遠くで溶接したりすることができる7軸のスポット溶接ロボットを業界で初めて製品化しています。また専門的になりますが、搬送されてきたボディーを下から持ち上げて溶接作業のために配置する装置やスポットロボットの稼働範囲を伸ばす走行軸もご用意しています。

スポット溶接
7軸ロボット

スポット溶接におけるデジタルデータの活用では、スポットガンの加圧をロボットコントローラで制御し、溶接打点毎の加圧状態を表すデータを収集して、そこから溶接箇所の板厚や溶接状況等を推定して、どのロボットが、何番目のボディーの溶接打点に違いがあったかなどを調べることができるようになります。これにより、PDCAを回した品質向上の取り組みが可能になります。

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