エレベーター
住宅やオフィスビル、駅、空港、商業施設など、生活のあらゆる場所に設置されているエレベーターの快適な乗り心地に欠かせないのが、インバータの「ソフトスタート・ソフトストップ」の機能です。乗っている人がスピードを感じないようにゆっくり動き始めて、加速したり減速したりをインバータがあると自由に設定できるので、快適な昇降となります。
エスカレーター
ショッピングセンターや駅などあらゆる施設に導入され、便利な生活を支えているエスカレーターは、人がいないときには省エネのために人感センサーで停止させます。ただ、次に乗客が乗った時に急に動き出してしまうと体のバランスが崩れてケガをする恐れがあり危険です。そこでエレベーターと同じようにインバータの「ソフトスタート・ソフトストップ」の機能を使うことで、加減速のスピード調整を自由に行い、ゆっくりと安全に動き出したり、停止することができるようになります。
空調ファン
快適な空間づくりに欠かせないエアコンなどの空調設備にインバータが使用されています。空調設備ではファンで空気の量と流れを調整していますが、従来はダンパと呼ばれる開閉弁などによって空気抵抗を増減して風量を調整しないといけませんでした。ただこれだと風量を減らしても使用する電気の量はあまり減りません。そこでインバータを用いるとモータの回転速度を制御して風量を調整するので、モータの消費電力を大幅に減らすことができます。インバータは、機械を必要以上に運転させないことで省エネを実現しています。
コンベヤ
食品工場・化粧品工場から家電製品を作る工場などは人手不足が深刻で自動化が進められていますが、このような現場では製品を流して生産工程を管理するためにコンベヤが使われています。最近ではオンライン通販の急増で物流倉庫が建設され、それに伴ってコンベヤの導入も増えています。このようにモノを横に動かす現場に欠かすことのできないのがインバータです。インバータは低速で始動し停止するソフトスタート・ストップな動きと、任意の時間で加減速が設定できることで、製品の荷崩れ防止などスムーズな搬送を支えています。また、始動時の電流を抑えることで電源側の負担が減り、電源設備を小さくできます。
ポンプ
電力、鉄鋼、化学工場など洗浄や冷却用途などで大量の水を使用する産業では、上下水道設備が整えられています。これらの設備にあるポンプで、インバータが使われており機械を最適運転することで省エネを実現します。従来は、ポンプではバルブによる流量調整が一般的でしたが、モータはフル稼働してしまうので余分な電力を消費していました。そこでインバータによるモータの回転速度制御を用いることで、流量の調整が可能になり、モータの消費電力を減らすことができます。
食品機械
食品工場でも、インバータが活躍しています。インバータは、外部からの信号(回転指令)を変えるだけで簡単に回転方向を変更できます。また、商用電源のように大きな始動電流を流さず、少ない電流でスムーズに加減速できるため、高頻度のスタート・ストップにも対応可能です。その機能は、食品機械にも応用できます。
例えば、おいしいケーキ作りには欠かせないホイップクリームを製造する機械では、熟練した職人が生クリームを練り上げる動きをプログラム化し、インバータドライブによって回転方向、回転速度、運転時間を制御します。こうすることにより機械でも良質なホイップクリームが安定的に出来上がるのです。
クレーン/自動倉庫
建設現場や港湾のようにクレーンが使われている現場のほか、自動倉庫で、インバータが活躍しています。
インバータには、外部からの信号(回転指令)を変えるだけで簡単に回転方向を変更できる特長があります。商用電源のように大きな始動電流を流さず、少ない電流でスムーズに加減速できるため、高頻度のスタート・ストップにも対応可能です。
その特長を活かして、上下・左右・前後へと移動が激しいクレーンや自動倉庫で自在にモノを動かします。クレーンや自動倉庫の場合は、インバータを電源回生装置と組み合わせることで、巻下げ時にモータが発電する電力(回生電力)を電源に戻したり、蓄電池に充電したりすることで、次の巻上げ動作で再活用して電力を余すことなく使うことができ、大幅な省エネにつながります。
オイル&ガス
シェールオイル・シェールガスとは、頁岩(けつがん)と呼ばれる堆積岩の層から採取される化石燃料のことで、プランクトンや藻類などの有機物が堆積し、地熱や圧力によって化学変化することで石油やガスとなった採掘可能なエネルギーです。
以前は掘り出す技術が確立しておらず、コスト的に見合いませんでしたが、米国では2000年代に掘削技術が確立し、シェールオイル・ガスの生産が本格化していきました。このシェールオイル・ガスを掘削する設備にも、インバータが使われています。