新製品2007年11月19日
株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)は、自動車ボディのドアの内側やエンジンルーム内の内板塗装を対象とした塗装用途最適化ロボット「MOTOMAN-EPX2800R」(棚置きタイプ)を開発し、2007年12月21日より受注を開始します。
自動車ボディの塗装ラインでは、塗装ロボットによる自動化が図られており、当社の塗装ロボットも多く採用されています。しかし、自動車ボディ外周の車体塗装に比べ、ドア内側やエンジンルーム・トランクルーム内部などの内板塗装と呼ばれる塗装作業では、塗装個所までの狭い進入路問題などから、未だ自動化が遅れている塗装ラインもあります。
また環境対応への配慮から、塗装に使用される化学物質からの作業員の開放や、化学物質の除去を行う空調設備の簡素化のために、塗装ラインの自動化・省スペース化が求められています。
塗装用途最適化ロボット「MOTOMAN-EPX2800R」は、内板塗装に主眼を置いた開発により、狭い進入路に適した中空スリムアームを採用し、当社車体塗装用ロボットに比べアーム断面積1/4を実現しました。
また、省スペース化に効果的なロボットの高密度配置を可能にする設置構造を採用することで塗装ブース長さ1/2、幅3/4を可能にしています。これにより、ロボット業界で初めて内板塗装の自動化と環境対応の両立を可能にしました。
新形機種の追加により、車体塗装ラインから内板塗装ラインの全てに対し当社ロボットの適用が可能となります
(1) 中空スリムアームの採用により内板塗装の自動化を実現
内板塗装では、ロボットの手首部分だけでなくアーム部分も自動車ボディ内部へ進入する必要があります。「MOTOMAN-EPX2800R」はロボットの上腕アームをスリム化し外径144mmとし、内径70mmの中空スリムアーム構造とすることで、アーム先端部に取り付けられる塗装ガンへ塗料を送るチューブをアーム内へ内蔵可能としました。
これによりチューブのロボット本体への絡まりや周囲との干渉を無くし、上腕アームのスリム化とも併せ、塗装個所までの狭い空間に進入できます。また、内板塗装では閉ざされた空間での塗装が多く、塗料ミストが周辺に充満する対策として、ロボットアーム可動部への塗料ミスト侵入対策やアーム自体への塗料付着防止対策を行っています。
(2) 棚置き設置構造による省スペース化で環境対応に貢献
塗装ラインの自動化に必要なロボットを全て床置きにすると塗装ラインは長く広くなってしまいます。そこで塗装ライン上方空間部にロボットを設置できれば、上下に2台のロボットを配置し同時に作業を行うことで塗装ラインを短縮することができます。また、ドアを開けた状態で移動する自動車ボディに対して、ロボットとドアとの干渉を気にせず塗装ラインの幅を狭くすることができます。
塗装ライン上方空間部にロボットの取り付けが可能な棚置き設置構造の採用により、塗装ライン長の短縮(従来比1/2)や幅の縮小(従来比3/4)など省ペース化を可能にします。これにより、化学物質除去を含めた空調設備などの簡素化が実現でき環境対応に貢献します。
他に、棚置きロボットでは作業領域が設置高さよりも下方になるので、「MOTOMAN-EPX2800R」はロボットの可動範囲を設置高さよりも下方とするよう、アームの関節位置や長さの見直しも行いました。
(注意:塗装ラインの長さ短縮、幅縮小の程度は、システム構成により変わります。)
自動車ボディの塗装、重機部品や建材等の箱体構造の内側塗装
(1) 受注開始 2007年12月21日
(2) 販売計画 240台/年
(3) 販売価格 1075万円/セット (税込み)
(ロボット本体、コントローラ、ロボット操作ボックス)
お知らせ:
本ロボット「MOTOMAN-EPX2800R」は、2007年11月28日から12月1日まで東京ビッグサイトで行われる「2007国際ロボット展」の安川電機ブースにて展示・実演を行う予定です。
添付写真 「MOTOMAN-EPX2800R」
[お問い合わせ先]
株式会社 安川電機
ロボット事業部
事業企画部 課長補佐
安高あたか 博之
Tel. (093)645-7703
Fax. (093)631-8140