テクニカルレポート 2022 No.2
当社の技術開発について~2021年度の振返りと2022年度の取組み~

2022年4月28日

当社新年度2022年度の技術開発活動がスタートしました。新年度スタートにあたり、前年度の活動の振返りと新年度の活動の方向性を紹介します。

背景

米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大などの影響により当社を取り巻く市場環境は大きく変化しています。加えて、半導体不足、原材料の高騰や入手困難は、深刻な影響を日本の製造業に与えています。
一方、2015年9月に「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連総会で採択され、SDGs達成に必要不可欠であるカーボンニュートラルの目的達成に向けた取組みが世界中で行われています。

サステナブルな社会構築に向けた新領域への展開

近年、激しく環境が変化している中で、当社は、中期経営計画「Challenge25」(2019-2021年度)の最終年度を1年延長して計画の見直しを行い、2021年4月に「Challenge25 Plus」(2019-2022年度)を発表しました。「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)によるビジネスモデル変革」、や「i3-Mechatronicsを通じた成長市場での収益最大化」、「サステナブルな社会構築に向けた新領域への展開」を取組みの基本方針と定め、長期経営計画「2025年ビジョン」の達成に向けて更なるレベルアップを図りました。

※ i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)とは
「新たな産業自動化革命の実現」に向け、これまでの自動化ソリューションにデジタルデータのマネージメントを加えた新たなソリューションコンセプト。

2021年度技術開発の振返り

YTC

生・販・技の進化を加速し、事業横断の取組みでお客さまの経営課題解決に寄与するため、2021年9月に安川テクノロジーセンタ(以下、YTC)を本格稼働しました。YTCは開発機能を集約した新たな開発拠点です。各拠点に分散していた技術者を集約し、技術情報や市場・業界動向などの様々なデータを共有化することで、お客さまのニーズに的確に応える技術・製品をタイムリーに開発します。また、開発における基礎技術開発、生産技術開発、製品開発、製品・設備設計、品質管理から量産試作までを含めた上流から下流までの全プロセスを集約することで、一貫した仕組みの中で開発を進めることができるようになりました。加えて、産学官やベンチャー企業といった外部パートナーとのオープンイノベーションを通じ、新たな技術・事業領域を拡大します。
このYTCを基軸に、世界初・世界一にこだわった製品開発を進めています。

世界初・世界一にこだわった製品開発

革新的技術を創出

当社のコア技術は「モーション制御」、「ロボット技術」、「パワー変換」の3つです。この強みを更に強化するために産学官やベンチャー企業と協業し、シナジー効果による革新的技術を創出します。
そのため、YTCには協業開発室などの開発環境も整えています。2021年9月本格稼働後、社外連携の動きを加速しています。具体的には、大学とは、包括的な連携、技術者・研究者の育成も視野に入れた連携講座によるモータ素材や材料の研究を進めています。

JA全農との業務提携

また、JA全農との業務提携により、農業分野への自動化の取組みを加速しています。テスト農場において「きゅうりの葉かき作業」の自動化実証や、YTCを活用しながら「いちごの選果作業」の自動化など、スマート農業の具体化を目指した取組みを行っています。

スマート工場

さらに、九州エリアで初めてローカル5G無線局免許を取得しました。無線での接続を活用したスマート工場の実現に向けて、リアルタイム性向上などの技術開発に取り組んでいます。スマート工場では、ローカル5Gを活用することにより、遠隔ロボット制御、柔軟な生産ラインの構築、AR・VRによる遠隔作業支援、ビッグデータ収集解析などを可能とします。

2022年度技術開発の取組み

当社は創業以来、時代のニーズに合わせて技術を発展させ、グローバルでの競争力を強化し、ものづくりの現場を支えるメーカーとして成長してきました。更なる成長をもたらすのが、2021年9月本格稼働したYTCです。ここでは、すぐにコミュニケーションがとれるオープンな会議テーブル、アイデアをすぐに形にできる試作用装置群や同フロアにワークスペースと実験スペースを設置するなど、常時エンジニア同士が活発なコミュニケーションを図ることで、スピーディーな開発を行います。2022年度も「メカトロニクスとその応用」を事業領域とし、当社のコア技術である「モーション制御」、「ロボット技術」、「パワー変換」を中心とした技術を、YTCにおいてオール安川の技術を結集して進化させていきます。
加えて、新しい領域にも果敢に挑戦し、当社の主力製品であるサーボモータやインバータ、産業用ロボットをセンサーやソフトウェアと連動させ、セルレベルで最適化した「i3-Mechatronics」のソリューションを提供します。新しい領域への挑戦では、当社の力だけではなく、外部パートナーを巻き込んだオープンイノベーションを強化し、推進していきます。これにより、様々なものづくりの現場で、工場自動化や工場最適稼働などのお客さまの課題を解決でき、その成果は省エネにも貢献し、カーボンニュートラルの実現にもつながります。

また、YTCでは、基礎技術開発、生産技術開発、製品開発、製品・設備設計、品質管理から量産試作までを含めた上流から下流までの全プロセスを集約させた開発を進めています。本年度もYDX(YASKAWA Digital Transformation)を開発の基盤としデータ共有を図り、全体最適で効率的な開発を進めていきます。

まとめ

新たな開発拠点として、技術開発の機能を1ヶ所に結集させたYTCは2021年9月に本格稼働しました。開発体制を見直して開発プロセスを集約することで、YTCでは開発の仕方を変革しました。この環境の下、主力製品の産業用ロボットやサーボモータ、インバータに向けた、コア技術の技術開発を推進しています。さらに将来に向けて、新たにカーボンニュートラルの実現に向けた取組みも開始しています。
環境問題や少子高齢化による人手不足といった社会課題に対し、その解決に貢献できる技術開発に挑戦し続ける当社のソリューションにご期待ください。

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