2022年2月21日
当社は「新たな産業自動化革命の実現」に向け、これまでの自動化ソリューションにデジタルデータのマネージメントを加えた新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を2017年に提唱し、そのコンセプトの実現に向けた製品の開発を強化しています。
一方、ものづくりの現場では、IoTやAIを活用した生産効率や品質の向上、トレーサビリティーの確保など、スマート工場の進化に向けた取組みが加速しています。これに伴い、「生産設備内の装置とロボットを同期して制御したい」「複数の装置とロボットのデータの時間軸を合わせたい」「データを活用して装置の付加価値を付けたい」といった要望が寄せられています。
こうした動きに応え、お客さまのIoT化推進と事業領域の拡大をお手伝いする新しいコンセプトのコントローラ"YRM-Xコントローラ" (以下 YRMコントローラ)を2021年に製品化しました。
複数の装置およびロボットからなる構成で、共通のワークを持つなど、データの関連性が存在するひとつながりの設備を"セル"と呼びます。YRMコントローラはこのセル全体を1台で最適に制御しセル内の装置やロボットのデータを統合的かつ時系列に収集します。
YRMコントローラにより、装置・ロボットの"時間が一致した活きたデータ"を取得することで、セル全体の状況をリアルタイムに把握することができます。さらにYRMコントローラとソフトウェアツール"YASKAWA Cockpit(以下YCP)※"を連携させることによって、取得したデータを解析し、解析した結果を"データ、動き(モーション)"としてセル全体へフィードバックすることで、"ものづくりの自動化(安定稼働・安定品質・工程改善)"を実現します。
※ YASKAWA Cockpitとは
時系列に同期されたデータの収集・視える化、そして、蓄積・解析を一括して行うことができるソフトウェアツールです。
YRMコントローラは、セル全体を制御するためのCPUユニットに加え、データ収集・フィードバックを行うためのIoTユニットを準備し、ユニット間の接続に高性能バスを採用することで高速・大容量なデータ転送を実現しました。YRMコントローラのシステムでは、セルを制御するYRMコントローラ自らがデータの収集も行います。このため、データ収集専用のユニットを取り付けてデータを収集するだけのシステムに比べて、セルの制御とタイミングを完全に一致させたデータの収集が可能です。セルの制御に必要な情報はYRMコントローラに集まっているため、セルの制御に関連したワークの情報や装置の時系列データなどセル内のすべてのデータを統合的に時間が一致した状態で収集できます。
YRMコントローラと連携して動作するYCPでは、セル全体のデータを一元収集・蓄積し、時系列に同期された状態でデータを解析し、YRMコントローラへフィードバックすることができます。YCPが生産設備の近くに設置されていることで、解析アプリにてデータをリアルタイムに解析し、"いつもと違う"や"変化の予兆"などを検知してセルの制御へ即座に反映できます。また、ワーク情報を装置・ロボットの時系列データとともにYRMコントローラで収集しYCPに蓄積できるため、ワークの品質に問題が生じた場合でも、ワーク情報とひも付けた各装置・各ロボットにおける要因解析が可能です。
各装置内のデータは、プロセスデータ(時間基準データ)、ステータスデータ(ID基準データ)の2つに分類されます。各装置に分散している各々のプロセスデータ、ステータスデータをYRMコントローラで収集します。その後、YCPで蓄積、分析し、視える化、トレーサビリティー、データ解析を行います。このデータの関連性と連携にて「品質の担保」「生産性維持・向上」を実現します。
YRMコントローラは時間軸のあったプロセスデータとステータスデータを取得することで、トレーサビリティー管理と生産品質傾向管理を実現します。問題が起きる前に改善を行うことで、安定生産と品質を実現します。
YRMコントローラによって、当社が掲げるソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」の具現化を更に加速し、お客さまの課題の解決と付加価値の提供を強化していきます。