嶌本慶太∗ 村上俊之∗∗
∗技術開発本部 つくば研究所
∗∗慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科
2023年11月1日
本稿は,接触を伴う作業の高度化を目的とした等価質量行列の切替え機能を有する力センサレスの位置と力のハイブリッド制御手法を報告する。接触を伴う作業の中でも,擦り動作はロボットのエンドエフェクタが物体と接触しながら動く動作であり,力の制御が不可欠である。等価質量行列は,多自由度ロボットの直交座標系の質量に相当し,ハイブリッド制御における位置制御軸と力制御軸間の干渉を表せる。設計値に基づく等価質量行列は,位置制御のみの非接触動作に適するが,擦り動作中の場合,力制御軸における意図しない振動を起こす可能性がある。そこで,非接触動作時と接触動作時の差を力制御軸の速度の差として捉え,両状況における等価質量行列の影響を解析し,力制御軸の速度に応じて適したノミナル等価質量行列を切り替える力センサレスハイブリッド制御手法を考案した。本手法により擦り動作中の意図しない振動が低減したことを,実験により確認した。
なお,本稿は,“Force Sensorless Hybrid Position/Force Control with Equivalent Mass Matrices Switching for Decoupled Rubbing Motion,”(IEEJ Journal of Industry Applications, Vol. 12, No.2, pp.107-116 (2023))を再編したものである。
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