技術2003年10月8日
株式会社安川電機(取締役社長 中山 眞)は、メカトロニクス機器の制御を高速に処理するLSI「RT-COP*1」を開発しました。開発したRT-COPは、財団法人福岡県産業・科学技術振興財団の「システムLSIフロンティア創出事業」において、財団法人九州システム情報技術研究所と有限会社システム技研と当社により共同開発した成果です。RT-COPは、制御固有の演算パターンをLSI化し、制御用CPUが行っていた制御演算を高速で並列演算処理するコプロセッサです。RT-COPをモータのサーボ制御に適用した場合、制御周期を1/2(当社比)に短縮でき、メカトロニクス機器の高速な制御が可能になります
工作機械、半導体製造装置、ロボット等のメカトロニクス機器は、近年ますます高性能化と多機能化が進んでいます。これに伴い、メカトロニクス機器に搭載される制御アルゴリズムは複雑になり、且つそのプログラムは大容量化しています。そのため、制御アルゴリズムを処理するCPUは、常に高速化が望まれています。現状、モータ等の制御アルゴリズムはCPUで全て処理され、しかも、複数の制御アルゴリズムを逐次的に処理しています。しかし、このような処理方法では、制御演算時間が長くなり、ますます高性能/多機能化するメカトロニクス機器の駆動源として、十分な制御性能を発揮できないことがありました。
そこで、当社では、モータの制御用CPUで処理される演算を解析し、サーボ制御に頻繁に使用される演算パターンがあることを見出しました。開発したRT-COPは、この演算パターンをLSI化したコプロセッサです。RT-COPは、制御固有の演算パターンを利用して制御アルゴリズムを並列演算処理し、これまでCPUで行われていた制御演算を大幅に高速化するものです。RT-COPは、市販CPUと組み合わせることで高速なモーションシステムを構築することができます。モータのサーボ制御に適用した場合、当社従来製品に比べ、1/2の制御周期でサーボ制御が可能になります。
今後、開発したRT-COPによって、メカトロニクス機器の高性能/多機能化に対応した高速のモーションコントロール製品を提供することが可能になります。
(1) RT-COPと市販CPUを組み合わせることで高速なモーションシステムを構築できます。
(2) VLIW*2アーキテクチャを採用した並列演算処理により、モータのサーボ制御を効率良く高速に演算処理します。
モータの制御周期:1/2に短縮(当社比)
(3) 消費電力は、制御用CPUの消費電力に比べ約1/3(当社比)で、低消費電力化を図りました。
(4) チップの端子にFBGA*3を採用し、小型化(10×10mm)を図りました。
(5) 汎用プログラミング言語であるC言語によって、RT-COPの制御プログラムが作成できます。
工作機械のほか、各種産業機械用モータ
チップマウンタ、ワイヤボンダ等の半導体製造装置用サーボモータ
ロボット用モータ
今後、当社製品(モーションコントロール製品)への応用を進めていきます。
(注) *1:Real Time – Control Operation Processorの略
*2:Very Long Instruction Word の略
*3:Fine-pitch Ball Grid Arrayの略
[お問い合わせ先]
株式会社 安川電機
開発研究所 企画グループ
担当課長 早川 博敏
Tel.(093)571-6644
Fax.(093)571-6028
E-mail.kaikenrq@yaskawa.co.jp