技術2017年11月21日
株式会社安川電機(代表取締役社長 小笠原 浩)は、製造業向けのAIソリューションで実績を持つ株式会社クロスコンパス(本社:東京都 代表取締役社長:佐藤 聡、以下クロスコンパス社)*¹と共同でロボットによる対象物の認識・把持(はじ)動作の生成・多様なつかみ方を自ら学習するAIピッキング機能を開発しましたのでお知らせします。
近年、生産ライン自動化ニーズの多様化により、ロボットに求められる作業のレベルが高度化しています。従来のバラ積み部品のピッキングシステムでは、対象物ごとに多様な把持動作を教示する必要があり、ユーザーにとって大きな負担となっています。また、把持を確実に実行するために、対象物に合わせてグリッパ*²を専用設計し用意する必要があり、システム導入への障壁の一つとなっていました。
当社では長期経営計画「2025年ビジョン」で、新しい自動化のソリューションを提供することを掲げており、これまでのソリューションにデジタルデータのマネジメントを加えた、新たなコンセプト「i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を始動しています。このたび開発したAIピッキング機能は、このコンセプトを具現化するソリューション提供の一環としており、当社のコア技術であるロボット技術と、クロスコンパス社のAI技術を組み合わせることで、バラ積みピッキングの高度化による自動化システム導入の簡易化、生産性の向上を実現していきます。
本機能は、ロボットアームの先端に取り付けたカメラからの画像情報をコントローラに入力し、AI(ディープラーニング)を用いてロボット自らリアルタイムに動作を学習・生成するため、教示が不要となります。把持動作中も取得した画像情報をもとに最適な把持位置を解析しながらピッキングを実行するので、対象物の形状や一定の把持位置・方向に合わせたグリッパの設計が不要です。さらに同じグリッパを用いて多数の対象物を学習することで、単一グリッパで多数の物品をピッキングすることができるため、効率的なピッキングシステムが構築可能となります。
部品配膳システムや仕分けシステムへの適用を見込んでおり、今後はより多くの対象物や環境での実証を蓄積し、把持率の向上や対象物の拡大などに取り組んでいきます。
AIピッキング機能のイメージ
ロボットイメージ
従来との比較
(1)把持動作の教示レス化
AIにより、ロボットアーム先端の2Dカメラで取得した画像を解析し対象物品の認識・把持動作の生成・多様なつかみ方を学習します。これによりピッキング実行時には、自動で対象物の状態に合わせた把持動作を生成することができます。学習したAIはロボットに依存しないため、教示作業を省略して他のロボットに移植することが可能となります。
(2)単一グリッパによる多種の対象物把持
現状のロボットを用いた複数物品のピッキングシステムでは、多くの場合グリッパを対象物ごとに変更して把持動作を行っています。本機能では、同じグリッパで学習を行うことで、AIが多様なつかみ方を自動で獲得することができるため、単一グリッパで多種の対象物に対応したピッキングシステムを構築することができます。
(3)2Dカメラによる低コスト化
現状のバラ積みピッキングシステムでは3Dカメラを用いたシステムで高精度に対象物の位置姿勢を認識してピッキングを行うのが一般的です。本機能では、安価な2Dカメラの画像で学習を行うため、低コストでシステムを導入することができます。
部品配膳システム、物品仕分けシステム等
なお、本機能は2017年11月29日(水)~12月2日(土)に開催される2017国際ロボット展(会場:東京ビッグサイト 東1~6ホール)に出展*³いたします。
*1 当社はクロスコンパス社と資本提携。詳しくは下記リンク参照 (2017年10月31日ニュースリリース)
https://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/news/35425
<株式会社クロスコンパスについて>
人工知能に特化したベンチャーとして実産業でAIを活用できるソリューションの開発、コンサルティングなどを提供。AI活用流通プラットフォーム「Intelligence-eXchange」構想の実現を進めており、2017年6月にはその一環として製造業向け人工知能統合開発環境「Manufacturing-IX」の提供を開始。
*2 ロボットアームの先端に取り付けて把持動作を行う器具
*3 東4ホール 小間番号IR4-47に出展予定
【お問合せ先】
株式会社安川電機
広報・IR部長
林田 歩
TEL: 03-5402-4564