新製品2004年11月16日
株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)は、リニアモータΣ-Trac-μを応用変形させた永久磁石可動構造のリニアモータΣ-Trac-MAGおよびΣ-Trac-αMAGを開発し、平成16年11月16日から販売開始します。同時に従来品リニアモータΣ-Trac-μのさらに薄形品の機種追加を行います。
安川電機は、サーボ業界のリーダとして、これまで常に市場要求に沿った新しい構造のリニアモータの製品展開を行ってきました。2000年度、他社に先駆けて汎用製品としてコア付きT形、コアレス形のリニアモータを販売開始しました。
2002年度、液晶製造装置市場のような長い可動範囲を必要とする市場に最適なリニアモータとリニアガイドが一体形のΣ-Tracシリーズを販売開始し、カストマの機械設計を容易にしました。2003年度、電子部品関連市場におけるリニア動作部分の小形要求や、微細加工・小形検査装置などのニーズに応えてΣ-Trac-μシリーズを販売開始しました。
今回、軽量・高推力・高精度を特長とするリニアモータΣ-Trac-MAGシリーズとΣ-Trac-αMAGを販売開始します。
Σ-Trac-MAGシリーズは、ボンダマシンやプレスフィーダのような高タクト仕様、アライメント装置などにおける短い可動範囲での高加減速、低速度リップル仕様(速度安定性)といった要求に応えて、可動部分の重さを軽くし、高加減速を実現、さらに磁気回路補正構造により低速度リップルを実現します。
Σ-Trac-αMAGは、可動部側のヨーク(鉄部)を固定部側に配置することで、さらに可動部を軽量化し、より高加減速な動きを実現します。
Σ-Trac-μシリーズは小形・多軸生産設備をはじめとする用途はもとより、半導体実装、バイオ、メディカル分野などのさらなる薄形要求に応える高さ14mmのリニアモータを機種追加します。
安川電機では、今後もリニアモータ市場のニーズをいち早くとらえて、次々と新たな機種展開を図っていきます。
・ ケーブル可動部分なし
永久磁石可動構造(MM形)は、マグネット側が可動部、コイルとスケールヘッドが固定側になっているので、可動部分の配線処理がなく、機器構成がシンプルになり、機械設計が容易になります。同時に可動部の配線が一切無いので高信頼性を実現します。
・ ストローク効率を向上
回転形モータを使ったボールネジ駆動では可動部分の長さに加え、カップリング部と回転モータ部の長さが加算され、短い可動部になるほどストローク率は低くなります。Σ-Trac-MAGシリーズ等では、移動テーブル自体を直接駆動するため、ボールネジ駆動に比べてストローク率*1が約1.5〜2倍となり、省スペースの機械設計が可能となります。
・ Σ-IIIサーボパック(SGDS)との組合せにより、オートチューニング(自動調整)、アドバンスト制御が可能です。
・ コントローラMP-2300との組合せにより、16軸までの同期制御が可能です。
(1) リニアモータΣ-Trac-MAGシリーズ
・高タクト・高加減速
Σ-Trac-MAGシリーズは、電気を流すコイルの重さに比べて可動部分の重さが軽いため、加減速度が速くなります。したがって、高タクトの動作が可能となります。
・機械加工物への伝熱低減化
Σ-Trac-MAGシリーズは、発熱源となる電流の流れるコイルが固定側になるため、機械加工物への伝熱量を低減することができます。また、冷却を要する場合でも、固定側に冷却ユニットを付加することで容易に熱対策できます。
(2) リニアモータΣ-Trac-αMAG
前述のΣ-Trac-MAGシリーズの特長に加えて次の特長があります。
・ヨーク(鉄部)をマグネット部から分離し、固定側に取り付けることにより、Σ-Trac-MAGシリーズよりも更なる可動部の軽量化を図り、可動部の最大加速度は40Gです。
(3) リニアモータΣ-Trac-μシリーズ機種拡充
従来のΣ-Trac-μより、さらに薄形の機種を追加します。
・高さ寸法の薄肉化(16mmから14mmへ)によってより狭いスペースへの設置が可能となります。
(1) リニアモータΣ-Trac-MAGシリーズ
販売開始 2004年11月16日 販売計画 300台/年 販売価格 オープン価格
(2) リニアモータΣ-Trac-αMAG
販売開始 2004年11月16日 販売計画 100台/年 販売価格 オープン価格
(3) リニアモータΣ-Trac-μ機種拡充
販売開始 2004年11月16日 販売計画 1000台/年 販売価格 オープン価格
【文中語句説明】
*1 ストローク率=(有効可動部分の長さ/全長)×100 (%)
【参考資料】
基本特性 リニアモータΣ-Trac-MAGシリーズ
形 式 |
SGTMF 4A -027** |
SGTMF 4B -036** |
SGTMF 5A -054** |
SGTMF 5B -072** |
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項 目
|
||||||
最大推力 | N | 270 | 360 | 540 | 720 | |
定格推力 | N | 90 | 120 | 180 | 240 | |
ス ラ イ ダ |
高さ | mm | 60 | 90 | ||
幅(全幅) | mm | 175 | 231.4 | |||
全長 | mm | 270 | 440 | |||
メカストローク | mm | 107 | 71 | 195 | 120 | |
可動部質量 | kg | 1.72 | 2.52 | 4.2 | 6.84 | |
全質量 | kg | 6.8 | 8.05 | 19.8 | 22.5 | |
モ | タ 性 能 |
最大速度 | m/s | 3.0 | 3.0 | 4.0 | 3.7 |
モータ定数 | N/√W | 11.0 | 14.6 | 18.5 | 24.7 | |
最大負荷質量 | kg | 50 | 70 | 100 | 140 | |
分解能 | 0.078μm / 0.5μm | |||||
繰返し位置決め精度 | ±0.5μm / ±1.0μm |
(注)最大負荷質量は、最大加速度5G時の値。
分解能と繰り返し位置決め精度は、使用するリニアスケールによって異なります。
基本特性 リニアモータΣ-Trac-αMAG
形 式 |
SGTMM09-020AH20A | ||
項 目
|
|||
最大推力 | N |
90 |
|
定格推力 | N | 45 | |
ス ラ イ ダ |
高さ | mm | 47 |
幅(全幅) | mm | 116 | |
全長 | mm | 130 | |
メカストローク | mm | 34 | |
可動部質量 | kg | 0.22 | |
全質量 | kg | 1.9 | |
モ | タ 性 能 |
最大速度 | m/s | 2.0 |
モータ定数 | N/√W | 10.6 | |
分解能 | 0.078μm | ||
繰返し位置決め精度 | ±0.5μm |
基本特性 リニアモータΣ-Trac-μ追加機種および既存製品
追加機種 (今回販売開始) |
既存製品 | |||||
形 式 |
SGTMM 01- 030AM 20A |
SGTMM 01- 010AM 20A |
SGTMM 03- 065AH **A* |
SGTMM 03- 025AH **AP |
||
項 目
|
||||||
最大推力 | N | 10 | 25 | |||
定格推力 | N | 3.5 | 7.5 | |||
ス ラ イ ダ |
高さ | mm | 14 | 16 | ||
幅(全幅) | mm | 60 | 75/90(注)1 | 75 | ||
全長 | mm | 95 | 75 | 170 | 150 | |
有効ストローク | mm | 30 | 10 | 65 | 25 | |
メカストローク | mm | 36 | 16 | 72 | 30 | |
可動部質量 | g | 100 | 100 | 190/240 (注)1 |
215 | |
全質量 | g | 350 | 310 | 630/710 (注)1 |
620 |
|
モ | タ 性 能 |
最大速度 | m/s | 1.5 | 1.0 | 1.5 | 1.0 |
モータ定数 | N/√W | 1.23 | 1.23 | 1.58 | 2.29 | |
最大負荷質量(注)2 | kg | 2.0 | 2.0 | 5.0 | 5.0 | |
リ ニ ア ス ケ | ル |
型番 | M1020 (マイクロE製) |
LIDA487/LIF481R (ハイデンハイン製) |
|||
分解能 | 0.078μm | 0.078μm/0.016μm | ||||
ホールセンサの有無 | 無し | 無し | 選択可(注)3 | 有り(内蔵) | ||
繰返し位置決め精度 | ±0.5μm |
[お問い合わせ先] |
株式会社 安川電機 |
モーションコントロール事業部 |
事業企画部事業推進チーム 須藤 勇人 |
Tel.(04)2962-7915 |
Fax.(04)2962-6138 |