新製品2009年12月7日
株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)は、ロボットへの単純な置き換えが困難であった製造ラインの組立工程、物流プロセスの工程間搬送など、人が行っていた作業をそのままロボットに置き換えられる新世代ロボットのラインアップとして「MOTOMAN(モートマン)-SDA5D」を開発し、2009年12月1日より受注を開始しました。
当社は、人間に近い形や動きをする新世代ロボットを開発し、人間と共存しての作業や補助を行うロボットを業界で初めて量産化し市場へ供給しています。現在、自動車・電機・物流業界を中心に生産ラインへ適用され、本格市場投入の2005年末からの累積出荷台数は約2000台となっており増加を続けています。
このたび、市場で好評を得ている新世代ロボットの更なる適用範囲の拡大のために小形双腕ロボットを新たなラインナップとして追加しました。駆動部は新規開発した小形アクチュエータ*1を搭載しアームの小形化を実現しました。従来のラインナップ(10kg可搬/アーム、20kg可搬/アーム)へ新たに5kg可搬/アームの双碗ロボットを投入することで小物部品の組立・搬送用途において、よりコンパクトな設備レイアウトを実現します。
今後も、先行者利益の拡大を目指し、さまざまな顧客生産システムへの対応を視野に入れ、顧客要望の取り込みや適用方法を含めた提案を行うなど、新たなロボット適用分野の創出を行い事業の柱にしていく方針です。
(1) スリムアーム&スリムボディ
小物部品の組立現場では、取り扱う部品や完成品が小さく、作業効率の追求から人の作業環境も狭くなっています。この環境に対応するため、ロボットの肩幅を486mmとし、ロボットの設置床面積も280mm×280mmとA4用紙サイズ1枚半としています。さらに、部品・製品に最も接近する手首部分用に、直径80mmの新規開発の小形アクチュエータを適用することで、アームのスリム化を図っており、部品・製品やアーム同士の干渉を大幅に低減しています。
スリム(軽量)化により、最小限の変更で人が使用していた作業環境をロボット化し、干渉の低減による器用な動きや、速度アップを実現しています。
(2) 器用で素早い動作性能
小物部品の組立作業では、狭い領域での高い精度を伴った細かな作業や、その生産量の多さから、器用で素早い動作が必要です。この作業に対応するため、ロボット各軸の動作速度を最大で54%アップ(当社類似機種比)し、繰り返し位置決め精度も±0.06mmと高精度です。さらに、アーム関節機構の工夫*2により、動作領域は人以上となっています。これらの動作性能の向上とスリムアーム&スリムボディとの相乗効果で、器用で素早い動作を実現しています。
製造業における組立作業(ネジ締め、部品組付け・挿入作業、部品搬送)
物流プロセスにおける搬送作業(各種部材の工程間・工程内搬送、工程前配膳)
(1)受注開始 2009年12月1日
(2)販売計画 10年度1200台/年 11年度2400台/年 以降3000台/年
(3)販売価格 880万円/セット (税込み)
(ロボット本体、コントローラ、ロボット操作ボックス)
以上
【語句説明】
*1: 小形アクチュエータ
ロボットの各関節に埋め込まれている「モータ・減速器・ブレーキ・エンコーダ(回転速度・回転角センサ)」の構成部品を一体化した電動機。構成部品単体の組み合わせ構造に対し、容積を1/3程度に小型化しており、ロボット専用設計で形状、特性を最適化している。
*2: アーム関節機構の工夫
ロボットアーム中心線と関節の回転中心をオフセット(ずらす)させる事で、可動範囲を大幅に増やすことができる。ロボットの小形化で起こる動作領域の狭小化を防げる。ただし、アーム構造や姿勢制御の演算は煩雑になり、新たな技術開発が必要になる。
- お問い合わせ先 -
株式会社 安川電機 ロボット事業部
事業企画部 課長補佐 安高(あたか) 博之
Tel:093-645-7703 Fax:093-631-8140
参考資料 「新世代ロボットMOTOMAN-SDA/SIAシリーズの用途例」
添付写真 「MOTOMAN-SDA5D」