新着情報

　株式会社安川電機（本社：福岡県北九州市、代表取締役社長：小川　昌寛）は、「新たな産業自動化革命の実現」に向け、ロボットやサーボなどメカトロニクス製品による自動化にデジタルデータ活用を加えたソリューションコンセプト「i³-Mechatronics（アイキューブ メカトロニクス）」を2017年に提唱し、その実行に向け、データを基軸としたデータドリブンによる自律分散型のモノづくりを提案しています。これを実現するソリューションとして、セル領域の統合コントローラ「YRM-Ⅹコントローラ」と視える化ツール「YASKAWA　Cockpit （以下：YCP）」の開発に続き、このたびセル領域へ適応する、シミュレーション検証をベースにしたエンジニアリングツール「YASKAWA Cell Simulator（以下：YCS）」を開発し、販売開始しましたのでお知らせします。

　ものづくり現場においては市場要求の多様化や高速化により、生産効率向上に留まらず、変種変量生産、設備更新の短サイクル化の対応が求められており、生産設備においては、具体的に以下の3点が求められています。

１．

生産準備段階で、設計を検討する工数最小化、設定・調整作業の容易化、設備導入のリードタイム短縮

２．

工場の稼働段階で、稼働率向上、メンテナンス停止時間の削減、ロボット停止時間の削減、段替え・変更の容易化

３．

新たな品種の追加・変更や、装置構成の変更などによる、頻発するセルの再設計への対応力強化

　当社ではこれらの課題にお応えするために、従来の集中制御と比べて、セルの構築や改良を容易にし、機種追加・量変動へも容易に対応が可能になるフレキシブルな生産設備を実現する「自律分散型セル」をご提案しています。この「自律分散型セル」の構築を目的として、設計から立ち上げ、セル全体の動作確認、動作分析と再設計まで、バーチャル環境を活用することにより一気通貫でエンジニアリングすることが可能なセル領域のエンジニアリングツールを製品化しました。YCS はセルシステム上の各段階での様々な課題解決に寄与します。

　YCSには、セルのエンジニアリング、セルの動作分析、セルの再計画の作業をする以下の3つの特長があります。

１）セルのエンジニアリング

セルのエンジニアリングでは、バーチャル環境上でセルの構造を検討・決定することで、セルの設計や現場での立上げ工数を削減するとともに、データをベースとした自律分散型セルシステムを立ち上げ、エンジニアリング作業から、セル全体の動作確認まで、バーチャル環境上で一気通貫にて行います。具体的にはA）セル内機器の接続設定、掲示板（セル内の自律した機器がデータ共有する仕組み）の設定、および機器のレイアウト設定の支援機能、B）セルの動作計画の作成・編集機能、C）タスク（各機器が特定の目的で行う作業）のプログラムの作成・編集機能、D）セル全体のシミュレーション検証機能を備え、これにより、セルシステムにおいて、設計検討の手戻り最小化、設定・調整作業の容易化を実現します。

２）セルの動作分析

セルの動作分析では、バーチャル環境で作り出される理想の計画データと、リアル環境から収集・取得される実績データを活用することで、計画と実績の差異と、その差異が発生した要因を、効果的に分析することができます。計画と実績の差異を確認する機能では、YCPを通じて取得したリアル環境の時系列データと、YCSのバーチャル環境で作り出された理想の時系列データを、比較・分析することで、動作の最適化に向けた再計画や異常原因の早期発見につなげることができます。

３）セルの再計画

セルシステムの立上げ段階や再計画段階でもエンジニアリング作業を支援できます。リアル環境でのデータを活用して再構築した、リアル環境との差異が小さいバーチャル環境とセルのエンジニアリング機能を用いることで、リアル環境で行うエンジニアリングと同等の作業をすることが可能です。さらに、周辺機器の応答特性を再現したシミュレーションにより、デジタルツインとしてよりリアル環境に近い検証ができます。リアル環境で収集されたデータを活用してPDCAサイクルを回すことで、サイクルタイムの分析や再計画が行えるエンジニアリング環境となります。これにより、セルシステムにおいて、メンテナンス停止時間の削減やロボット停止時間の削減、段替え・変更の容易化を実現します。

（１）販売開始日　2023年12月

（２）販売価格　　オープン価格

【お問い合わせ先】
株式会社 安川電機
ロボット事業部 事業企画部 営業推進課
蒲原　圭
TEL：093-645-7703