1950~

1950

オートメーションの時代

自動化制御の向上

    • 初期のミナーシャモータ
    • DCサーボ「ミナーシャモータ」組立ライン
    • Hラインモータ
    • Hラインモータの専用製造ライン
    01

    画期的なミナーシャモータの誕生

    当時モータと言えば油圧式が一般的でしたが、電動力の極限にある追従(サーボ)性能を追求することで、これを置き換えられないかとの考えから1958年世界初となる直流(DC)サーボモータのミナーシャモータが誕生しました。導体を直接モータの回転子の上に置いたユニークな構造で、従来のモータより100倍もの応答特性と優れた整流能力を備えた画期的な製品でした。「ミナーシャ」という名前は、ピタっと止まる特性をもった「ミニマムな回転の慣性(イナーシャ)」という意味から付けられたものです。その後ミナーシャモータで得た技術は、油圧サーボでは実現できなかった応答性と精度を特長に、数々の用途に幅広く使われるようになり、産業の流れを現在の精密かつ高速化の方向へと大きく引き寄せました。一方で全鋼板製の汎用電動機Hラインモータは1952年の開発から20年間で500万台を売り上げる主力製品となり、これが日本のモータの全鋼板化を促しました。

    02

    フィードバック制御とシーケンス制御の重点化

    1950年の朝鮮戦争以降、技術の方向性は自動化にあると見据え、自動化の手足となる動力に本格的な可変速を加えること(フィードバック制御)と自動化の頭脳となる制御(シーケンス制御)に重点をおいていきました。この両面の制御は、石炭・鉄鋼・セメントなどの各種産業設備に用いられるとともに、次第に大形化し、全体的なプロセスオートメーションへと発展していきました。また、工作機械や運搬機械などの設備自動化を支え、後のファクトリオートメーションの基礎となりました。

    • 可変速モータの代名詞となったVSモータ(VBOMN)(1963年〜1968年製造)
    • VSモータ第一号機5HP 200V(1953年)八幡電機精工㈱保存
    03

    可変速のVSモータの登場

    当時、モータの定速運転は優れた技術を持っていたものの可変速には弱く、産業設備の高度化に対応できる本格的な可変速の出現が望まれていました。そのようななか、フィードバック式の自動制御もでき、保守が簡単で使用環境に左右されにくく、遠隔制御もできる交流可変速モータのVSモータが誕生しました。VSモータは産業界から注目を浴び、印刷機、巻上機やクレーン、作業船のディーゼル機関などに用いられていきました。大形のVSモータは、絶えずトップシェアを保ち、海外にも技術供与され輸出の主力製品となりました。

    • 立坑巻上機用電機設備
    04

    自動制御のための直流機の技術導入

    当時VSモータの単純可変速交流モータではなく、より機敏で精密な自動制御のために直流機も求められるようになりました。そのためスイスのブラウンボベリ社(現ABB)と提携し、システムとしての技術提供を受けました。提携後、炭鉱の立坑巻上機のつりかごの停止位置の誤差数センチという厳しい精度要求への対応、鉄鋼業界では当時すでに確立していた原料ヤードの総括制御装置や高炉の原料自動装入装置に加え分塊圧延機用モータなどを本格化に提供していきました。この導入技術は、炭鉱や鉄鋼のほか、抄紙機のシステムにも力を発揮し、国内外で納入台数を増やしました。

PAGE TOP