新製品2005年4月19日
株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)は、マトリクスコンバータ方式による電源高調波レス回生機能内蔵モータドライブVarispeed ACを世界で初めて商品化いたしました。2005年6月21日から供給を開始いたします。
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「Varispeed AC外観写真」 |
1.製品化のねらい
インバータを用いたモータの可変速ドライブは、省エネ効果の大きさから広く普及しています。しかし、その原理に起因する電源高調波電流とその抑制、及び減速時の回生(発電)電力の有効利用が課題として残されており、当社は、前者に対しては、電源へのリアクトルの追加や12相整流、或いは正弦波PWM電源回生コンバータVarispeed 656DC5の設置、後者に対しては、電源回生ユニットVarispeed 656RC5などの外部機器によりこれらの改善を進めてきました。 |
2.主な特長
(1) |
電源高調波電流が少なく高調波ガイドラインへの対応が容易です。 |
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(2) |
モータからの回生(発電)電力を逃がしません。 |
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(3) |
新方式のシンプル構成の高効率ドライブです。
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(4) |
小形、省配線、省スペースに寄与します。 |
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(5) |
サージ電圧、漏れ電流、ノイズなどの環境にも配慮しています。 |
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(6) |
低速にも強いドライブを実現します。 |
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(7) |
主回路電解コンデンサレスです。 |
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(8) |
世界標準通信ネットワーク対応ドライブ |
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(9) |
簡単な操作を実現します。 |
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3.主な用途
(1) | 病院・学校・オフィスビルなど電源高調波対策が望ましい場所での空調ファン・給水ポ ンプ・エレベータなどの可変速用途 |
(2) |
クレーン・エレベータ・エスカレータなどの回生電力が大きい昇降用途 |
(3) |
遠心分離機、フィルムラインの巻き出し機などの長時間回生用途 |
4.販売計画
(1) サンプル供給開始 | 2005年6月21日 |
(2) 発売開始 |
2005年9月21日 |
(3) 販売計画 |
2005年度 300台/月 |
(4) 標準価格 |
オープンプライス |
(5) 製品シリーズ(2005年度) |
200V 5.5kW、11kW、22kW(計3機種) |
(6) 納入開始 |
2005年11月21日 |
【補記・用語解説】
1.インバータ回路、電源高調波電流 | |
インバータ回路の場合、交流電圧をダイオードなどの整流回路により一旦直流電圧に変換し、主回路コンデンサで平滑した後、出力側のトランジスタ回路のスイッチングにより再度可変電圧可変周波数の擬似正弦波を得ています。 整流時に、整流回路の出力電圧波形の歪とコンデンサの充電電流に起因した電源側の電流歪が発生し、これが電源高調波電流と呼ばれ、電源力率の悪化などを招く為、対策のガイドラインが設定されています。 従来、リアクトルの追加や、12相整流、あるいは別置き正弦波PWMコンバータなどで対策していましたが、高調波の低減率や費用の面からコストパフォーマンスの高い対策方法が要望されていました。 |
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2.回生(発電)電力 | |
減速時や昇降機の下降時など負荷から回される際に、モータは発電機として動作します。このとき発生する電力を回生電力と呼び、そのままでは、インバータ内部が過電圧になる為、別置の大容量の抵抗器で放電したり、或いは正弦波コンバータや電源回生ユニットで電源側に戻していました。 | |
3.サージ電圧、漏れ電流、ノイズ | |
出力トランジスタを高速スイッチングする際に発生する障害で、さまざまな対策が検討されています。出力を3つの電圧レベルに分けてスイッチングするVarispeed G7の3レベル制御は、これらを根本から解決する主回路方式として高い評価を得ています。 Varispeed ACもこの考え方を取り入れております。(同一の波形ではありません) |
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4.ベクトル制御 | |
モータの磁束または磁束電流とトルク電流を制御する、モータの高性能制御方式です。 | |
5.NEMA1構造 | |
米国NEMA規格の制御盤保護構造の定義で、国内においては、閉鎖形の扱いとなります。 |
[お問い合わせ先] |
株式会社 安川電機 |
モーションコントロール事業部 |
インバータ事業統括部 |
インバータマーケティング課 |
課長 野中 和浩 |
Tel.(0930)25-2548 |
Fax.(0930)25-3431 |