技術論文 2023 No.1
磁気飽和と磁石温度変化を考慮したIPMSMの高精度トルク制御

高瀬善康 濱辺恭将 ゼイ恒彬 森本進也 東川康児∗∗

技術開発本部 基礎技術開発統括部 ドライブ技術開発部
∗∗技術開発本部 基礎技術開発統括部

2023年8月23日

 埋込磁石型同期電動機(IPMSM)は小型高効率という特長から,電気自動車や産業機械等の様々なアプリケーションに広く適用されている。しかし近年では,IPMSMの小型化・高トルク密度化が加速することによって,磁気飽和に起因するトルクの非線形性が増し,特に高負荷領域や高速領域において正確なトルク制御を行うことが難しくなってきている。また運転中にIPMSM内の磁石温度が上昇することによってもトルク精度は悪化するが,それに対する運転中の補正は特に困難な課題として知られている。当社は,これらの問題を解決するため,独自の磁束オブザーバと誘起電圧定数推定器を用いた高精度トルク制御技術を提案する。この技術は,強い磁気飽和を有するIPMSMに対して全駆動領域で正確なトルク出力を実現し,かつIPMSMの温度変化に起因するトルクの変動を抑制する効果を有する。また本構成はトルクの非線形性を補正するための大規模なルックアップテーブルを必要としないため,組込みソフトウェアへの実装が容易という特長もある。本稿では,提案するトルク制御技術の構成,特長,従来制御方式に対するトルク精度の改善効果を述べている。

 なお,本稿は 2022 International Power Electronics Conference (IPEC-Himeji 2022- ECCE Asia)発表論文「 High-Precision Torque Control of IPMSM Considering Magnetic Saturation and Magnet Temperature Variation」を再編したものである。

 

■関連する技術論文
本稿は以下公開済技術論文の続報である。

目次

1.まえがき P1
2.提案する高精度トルク制御技術の構成 P2
2.1提案手法の概要
P2
2.2軸間干渉インダクタンスモデルを用いた磁束およびトルク推定器
P2
2.3誘起電圧定数推定器
P3
2.4トルク誤差補償器
P4
3.実験結果 P4
3.1評価諸元
P4
3.2誘起電圧定数推定器の効果確認
P4
3.3全領域トルク制御精度の改善効果の確認
P5
4.むすび P5

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