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促通反復療法(川平法)のリハビリ装置を開発
– 脳卒中の後遺症治療をサポート –

技術2013年5月27日

 株式会社安川電機(代表取締役会長兼社長 津田 純嗣)は、このたび、促通反復療法(川平法)のリハビリ装置(上肢リーチング訓練装置)を国立大学法人鹿児島大学と共同開発しました。本装置の使用により、脳卒中による後遺症で麻痺した上肢の回復を早めることが期待されます。今後、本装置の実用化・普及に向け、臨床研究を継続して治療効果を示すエビデンスを収集するとともに、改良を行って2015年に製品化予定です。他の部位(前腕、指、下肢、歩行等)の訓練装置についても、鹿児島大学と共同研究を進めており、順次、臨床研究を経て製品化を行います。

  • https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2013/05/289_top_1.jpg

1.開発の背景

 日本では年間約30万人が脳卒中を発症しており、総患者数は300万人と推定されています。多くの患者には片麻痺等の障害が残り、その回復には療法士等による長期間のリハビリが必要でした。また、発症後半年を経過するとそれ以上の回復が困難と言われていました。
 近年、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科リハビリテーション医学分野の前教授である川平和美先生によって開発された促通反復療法(川平法)が脳卒中片麻痺患者の麻痺回復に優れた効果を示し、かつ、発症後数年経った場合でも効果があることが分かってきました。しかし、複数の刺激を与えながら麻痺部位の運動を行わせるという促通反復療法の手技は熟練を要すため、習得した療法士はまだ少なく、本療法の治療を受けられる患者は少数に留まっています。

2.開発のねらい

 上記背景から、当社では鹿児島大学の促通反復療法の研究グループ(注)と共同研究を行い、当社のモーションコントロール技術、ロボット技術を応用した、促通反復療法(川平法)に基づくリハビリ装置(上肢、前腕、指、下肢、歩行用等)の開発を進めております。今回、最初の装置として、上肢リーチング訓練装置を共同開発しました。本装置により、促通反復療法によるリーチング訓練(日常生活で大切な手を前上方の目標に伸ばす訓練)を多数回かつ長時間行うことが可能となり、麻痺した上肢の回復を早めることが期待されると共に療法士の負担を減らすことができます。
注:鹿児島大学の促通反復療法研究グループ(大学院医歯学総合研究科川平和美客員研究員(前リハビリテーション医学教授)、下堂薗恵准教授(霧島リハビリテーションセンター長)、大学院理 工学研究科 余永准教授、林良太准教授、教育学部 末吉靖宏准教授)は、促通反復療法を実現するリハビリ支援ロボット技術と、そのための振動と電気による刺激手法の研究開発を長年行ってきました。本リハビリ装置はそれらの成果を応用したものです。

3.上肢リーチング訓練装置の特長

・片麻痺上肢(肩、肘)を上前方へ伸ばし、次に手前に曲げる訓練装置です。
・手首をワイヤーで吊り下げ、モータの力で腕の重量を免荷し、患者の弱い力でも腕を動かせるようにします。
・患者の手前(胸の前)と上方遠方にボタンを配置し、腕を曲げ・伸ばしてそれらのボタンを交互に押す訓練を行います。通常は1日に100回から1000回程度行います。
・曲げ・伸ばしの際に使う筋に運動と同期して振動刺激、さらには電気刺激を併用して
 (促通といいます)、患者が自主的に腕を動かすことを容易にします。
・これらの促通刺激によって、肩と肘の運動を伝える神経回路(脳内の損傷を受けた周囲から脊髄まで)の興奮状態が高まり、運動を反復することができるため、効率的な神経路の強化によって麻痺の回復が促進されることが期待されます。

4.ロボティクスヒューマンアシスト事業での位置づけ

 安川電機では、当社創立100周年に向けて掲げた「2015年ビジョン」実現のための最終ステップとして、新中期経営計画「Realize 100」(2013年度~2015年度)を、4月18日に発表しました。この中で、新規事業の創出・コア事業化の実現に向け、ロボティクスヒューマンアシスト事業領域では、医療・福祉分野において脳疾患等のリハビリ機器への取組を進めることとしており、促通反復療法(川平法)のリハビリ装置は、その主要な柱の一つとの位置づけです。

 

【お問い合わせ先】
株式会社 安川電機
東京管理部長 
兼広報・IRグループ長 
林田 歩
TEL: 03-5402-4564 
FAX: 03-5402-4580

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