技術論文 2024 No.1
PMSMトルク制御精度向上のための誘起電圧定数およびq軸インダクタンスのオンライン推定技術

猪又健太朗 山﨑明 濱辺恭将 原英則∗∗

技術開発本部 基礎技術開発統括部 ドライブ技術開発部
∗∗YASKAWA AMERICA, INC. Business Development

2024年12月13日

 近年ではオイル&ガス産業や電気自動車などのモータドライブシステムは,モータの小型化が要求されている。当社は定トルクモータSS7シリーズをはじめ,可動子に永久磁石を有するPMモータを製品化している。PMモータは誘導モータと比較し小型かつ高効率であるため,小型化の要求に応えるモータであるが,トルク精度が悪化しやすいという課題がある。トルク制御精度が低いとモータ軸に接続された機械の異常振動や故障を引き起こす可能性があるため,これらの適用分野においてモータドライブのトルク制御精度は重要な要求事項の1つになっている。トルク精度悪化の原因は,温度上昇による永久磁石の起磁力低下や磁気飽和による巻線インダクタンスの低下などが知られている。このため,モータパラメータを定常値として扱う従来の制御手法では,永久磁石の温度変化や磁気飽和の影響により所望のトルクが得られない問題が発生する。そこで本稿では,PMモータの誘起電圧定数およびq軸インダクタンスをオンライン推定することによってトルク制御精度を改善した。本提案技術により当社PMモータの性能を向上させ,顧客装置の価値向上につながると期待される。
 なお,本稿は参考文献14)「Improvement of PMSM Torque Accuracy with On-line Estimation of Permanent Magnet Flux Linkage and q-axis Inductance」,ICEMS2020(LS2H-1, 2020/11/24)を再編したものである。

 

目次

1.まえがき P1
1.1小型かつ高効率なPMモータとその問題点
P1
1.2トルク誤差の主要因
P2
1.3モータパラメータを推定する方策
P2
2.提案手法 P3
2.1誘起電圧定数オンライン推定法
P3
2.2q軸インダクタンスオンライン推定法
P4
2.3パラメータ推定可能なドライブ条件
P4
2.4トルク補償器
P5
3.実機試験 P5
3.1試験システム構成
P5
3.2トルク精度確認試験結果
P6
3.3アンチワインドアップ試験結果
P6
4.むすび P6

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