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促通反復療法のリハビリ装置「前腕回内回外訓練装置」を開発
- 脳卒中の後遺症治療をサポート -

技術2015年8月27日

 株式会社安川電機(代表取締役会長兼社長 津田 純嗣)は新長期経営計画「2025年ビジョン」に掲げるヒューマトロニクス(注1)の事業領域確立に向けて、このたび促通反復療法(注2のリハビリ装置(前腕回内回外(注3訓練装置)を国立大学法人鹿児島大学、株式会社有薗製作所、株式会社エイチアイデーと共同開発しました。本装置の使用により、脳卒中による後遺症で麻痺した腕の回復を早めることが期待されます。

 本開発はロボット産業振興会議の環境配慮型ロボット及び医療福祉ロボット等開発支援事業の一環として取り組み、今後は実用化に向け、臨床研究による有効性評価と使いやすさ等の改良を加速させます。

 

(注1):ヒューマトロニクス/Humatronics: 人間(Human)とメカトロニクス(Mechatronics)を掛け合わせた造語

 

(注2):鹿児島大学大学院医歯学総合研究科リハビリテーション医学 前教授である川平 和美先生によって開発された治療法です。この治療法は、慢性期を含む脳卒中片麻痺患者の麻痺回復に優れた効果を示すことがわかっています。

 

(注3):前腕部の運動の一つで、手を内側に回す運動を回内運動、手を外側に回す運動を回外運動と呼びます。

  • https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2015/08/nr727_01.jpg

    促通反復療法のリハビリ装置(前腕回内回外訓練装置)

1.開発の背景

 日本では年間約30万人が脳卒中を発症しており、総患者数は300万人と推定されています。 その発症後、片麻痺等の後遺症の回復のために、多くの患者が長期に渡るリハビリを余儀なくされています。

 当社は、2025年ビジョンを掲げ、ヒューマトロニクスの事業領域確立を目指しており、その一環として医療・福祉分野において、リハビリ訓練をアシストする装置の開発を行っております。

2.開発のねらい

 当社では鹿児島大学の促通反復療法の研究グループ(注4と共同研究を行い、当社のモーションコントロール技術、ロボット技術を応用して、促通反復療法の理論に基づくリハビリ装置の実現に取り組んできました。その理論によれば、装置を使った訓練中に、促通刺激を与えることで、腕の運動を伝える神経回路(脳内の損傷を受けた周囲から脊髄まで)の興奮状態を高めることができます。また、運動を繰り返し行うことで、神経路が再建・強化され、麻痺の回復を促すことが期待されます。

 また本装置のような医療介護リハビリ分野の機器開発においては、医工連携を含む産学官の連携が プロジェクト推進上重要ですが、特にロボット産業振興会議による本支援事業においては地域企業が連携することにより、地域産業の活性化にも貢献すると期待されています。

 

(注4):鹿児島大学の促通反復療法研究グループ(大学院医歯学総合研究科 川平 和美 客員研究員 (前リハビリテーション医学教授)、大学院医歯学総合研究科 リハビリテーション医学 下堂薗 恵教授(霧島リハビリテーションセンター長兼任)、大学院理工学研究科 機械工学専攻 余 永准教授(主に促通リハビリロボット技術開発))は、促通反復療法を実現するリハビリ支援ロボット技術と、そのための振動と電気、聴覚と視覚による刺激手法の研究開発を長年行ってきました。本リハビリ装置はそれらの成果を応用したものです。

3.前腕回内回外訓練装置の特長

 麻痺側の腕を装置に通し、装置による他動運動と患者さんによる自動運動を交互に繰り返して訓練をします。

 

・瞬時の他動運動によって誘発される伸張反射の動きに沿って随意自動運動を開始することで、 スムーズに運動ができます。

・他動運動速度を2段階にすることで、さらに伸張反射が起こりやすくなります。

・繰り返し訓練しても、腕が疲れない、痛くならないように配慮しています。

・促通反復療法による前腕回内・回外運動の訓練を繰り返し、長時間行うことが可能となり、麻痺した腕の回復を早めることが期待されると共に療法士の負担を減らすことができます。

4.その他

 本装置は、201592日に開催される「福岡先端システムLSI開発拠点推進会議」「ロボット産業振興会議」で展示する予定です。

5.過去の関連プレスリリース

促通反復療法(川平法)のリハビリ装置を開発

  –脳卒中の後遺症治療をサポート–(20135月27日)

 http://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/technology/6100

 

②新長期経営計画「2025年ビジョン」について(20154月20日)

 http://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2015/04/06.pdf

 

③新長期経営計画「2025年ビジョン」(参考資料)(20154月20日)

 http://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2015/04/Vision2025.pdf

 

【お問い合わせ先】

株式会社安川電機

広報・IR部長 

林田 歩

TEL: 03-5402-4564 

FAX: 03-5402-4580

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