1967年にミナーシャモータなどの主力製品拡販を目的に米国安川電機を設立したのを皮切りに1960年代から海外販売網強化・需要地生産によるグローバル生産体制確立・グローバル調達網の進展とグローバル化を加速させていきました。現在では30ヵ国のビジネス拠点、13ヵ国29拠点の生産拠点で展開しています。
サーボモータやインバータは、それぞれの国ごとの産業成長に沿った需要を積極的に捉え(例えばアメリカは自動車、ポンプ、半導体向けなど、韓国は自動車、電子、鉄鋼、造船向けなど、アジアは港湾用クレーン、重電用プラントなど)主力製品を主体に大口受注に結び付けるべく現地会社を設立して販売網を強化していきました。またロボットは主に1990年代以降に入って欧米で現地SIerのM&A、そして中国で現地メーカーとの合弁を進めることでグローバルでの販売網を確立していきました。
グローバルでの生産については需要地生産の考え方を基本として、欧米中などのお客さまの需要がある地域で生産する体制を進めてきました。90年代からインバータ、ロボット、そして2000年代に入って中国でのサーボモータ・サーボアンプの生産を開始し、現地のニーズに対応したシェアアップのための体制を整えていきました。
グローバルでの調達は、1990年代の円高のコストメリットを求め海外調達を検討することから始まりました。日系部品メーカーの中国進出が徐々に本格化すると、プリント基板から鋳物・機械加工部品へと海外調達率が上昇していきました。2000年代に入ると当社が進めたグローバル生産の拡大とともに、特に中国を中心として各拠点による現地調達に移行し、グローバルな調達と生産が本格化しました。
テレビや携帯電話の普及、企業へのPC導入、家庭用ゲーム機のヒット等により、液晶パネルを製造するための設備の自動化と高速化に加え、半導体製造でのクリーン度・高スループット・高信頼性といったニーズの高まりから、1980年代後半からクリーンロボットの開発をスタートさせました。液晶パネルの生産工程で使用可能な液晶ガラス基板搬送用クリーンロボットや、半導体製造プロセスでの真空環境での半導体ウエハ搬送ロボットを投入し、1990年代には半導体製造の全プロセス間での搬送を担うことが可能になりました。可搬質量のラインアップ拡充だけでなくさまざまな形状も徐々に増やし、1990年後半からは自社でも大型のクリーンルームも新設するなど時代を捉えて成長していきました。
2000年代に入ると、溶接、塗装、搬送などの用途で培ってきた技術やノウハウをベースに、より使いやすく、より人に近い領域へ、人と共存するロボット市場の創造を目指し、アプリケーションの幅を広げていきました。産業用途では、家電製品など組み立て領域に向けて人の作業からの置き換えを図り2005年に新世代産業用ロボットの双腕ロボットを製品化しました。またバイオメディカル市場をターゲットとし、人手で行っていた薬品などの分析前処理の単純な繰返し作業やバイオハザードから作業者を開放するため、2013年に、バイオ向け双腕ロボットを使用したロボットシステムを販売開始しました。これにより分注、攪拌、分離、分析など一連の作業のバラツキや個人差・ミスが排除され、人を超えた再現性を実現できるようになりました。
食品市場に向けては、1990年代よりサーボモータが小型化すると食品加工機用に販売され、インバータも防水・防塵対応の機能特化型として食品機械用に販売されていました。2008年のリーマンショック以降は、用途最適化をベースに、「小形・スリム化」、「環境対応」、「使いやすさの改善」を進め、三品(食品、医薬品、化粧品)市場向けのPPP(ピッキング、パッキング、パレタイジング)工程をターゲットにした製品力を強化しました。2010年に食品、医薬品、化粧品向けのロボットをラインアップしたのに続き、2011年にはパラレルリンクロボットを開発しました。これによりピッキング動作の高速性を追及しPPPのすべての工程で当社のロボットを使ったライン構築が可能となりました。また、専用コントローラ、プログラム自動生成ソフトや生産管理ソフトなども同時に揃え、使いやすさとパフォーマンスを向上させていきました。
これまでに培ってきたパワー変換などの技術を活用して、2000年代より太陽光発電や風力発電用といったクリーンパワー領域でのビジネスを拡大してきました。太陽光発電システムは、自治体や電力会社などへ発電システムを納入する一方、産業用パワーコンディショナ製品(10kWや100kW)を販売してきました。風力発電用では、独自の高圧マトリクスコンバータ技術を応用し、高い電力変換効率、コンバータ盤の小形化、メンテナンス性などを特長とする大型風力発電用システム電機品の技術開発を行いました。高圧ドライブ製品は、省エネに大きく貢献し、自動車向け、船舶用のポンプシステム、食品業界などで新用途の展開が進みました。この他にも市場からの需要拡大や省エネ法など環境規制に合わせて小型風力用発電機、船舶駆動用モータなど事業化に取り組んできました。
創業期に生まれた「モータとその応用」という考えは、ドライブと制御技術となり、社会インフラでのシステムエンジニアリングの領域で脈々と進化を続けてきました。1980年代後半からは、鉄鋼システムで鉄鋼プラントでの連続鋳造設備用や原料ヤード設備用のより高度な自動化、操業支援、保全支援のための電気・計装統合システムを構築し、多くのプラントでシステム統合化を行ってきました。これら鉄鋼設備への適用における評価を受けて、製紙設備、フィルム製造設備、港湾荷役機械、新聞輪転機などへの産業システムへ納入してきたほか、水処理制御システム、電力会社などへ電力機器を納めてきました。現在もシステムエンジニアリング事業として安川グループの事業ポートフォリオの一つとなっています。
「技術立社」は、1996年に当時の社長(6代目の橋本氏)が、世界水準にある技術を駆使してお客さまのニーズに応える製品を提供することが当社の存在意義であるとして、就任時に方針の一つとして伝えたものです。今では社是として引き継がれ企業文化(=6つのDNA)のひとつとなっています。