1960~

1960

メカトロニクスの時代

画期的なコンセプトの誕生

    01

    メカトロニクスの商標登録

    伝説の技術者・森徹郎氏が1969年にメカニズムとエレクトロニクスを合わせた造語「メカトロニクス」の商標登録を出願し1972年に登録されました。一度登録はされたものの市場への広がりを重視し、商標を返上したことで現在は世界共通語となりました。またこの電動機や機械といったメカを電気の力で精密に制御していくというメカトロニクスの考え方は安川グループの3つのコア技術を貫く技術ドメインとなりました。

    02

    アンマンドファクトリ構想

    1960年から70 年に人間を中心に、機械でサポートする自動化工場の実現を目指す理想のモータ工場としてアンマンドファクトリを構想し、「人間を苦しい作業から解放して人間性を回復させ、その生き甲斐や幸福を追求できるようにするのがオートメーションの真の目的と意義」と定めました。これはまさに現代のスマートファクトリーの考え方を連想させる工場の在り方を50年前に描いたものです。

    • モートアーム(左)、モートフィンガ(右)
    03

    電気式アクチュエータの試み

    エレクトロニクスの出現で制御技術が飛躍的な進歩を遂げた1960年代、アクチュエータをもって攻めれば新しい市場が開拓できると考え、「モータシャフトから先への展開」つまりフィンガーコントロールの思想を打ち出し、油圧式アクチュエータに対抗し電気式の画期的な製品群を展開しました。物をつかみ、離す動作をするモートフィンガ、前後の動作をするモートアーム、これらの動作を組み合わせたモートハンド、そしてモートハンド自体が移動する機構をもつオートローダを次々と製品化し自動車向けに販売しました。1969年には自動化機器工場が完成しロボット事業の種がまかれました。

    • 国内初全電気式産業用ロボットMOTOMAN-L10 1号機
    • 萬自動車工業納入 受注第1号機 モートマンーL10
    04

    日本初の全電気式産業用ロボット「MOTOMAN-L10」の誕生

    1970年代に入ると自動化機器事業部を発足させ、様々な形状の自動化機器の取り組みを強化していきました。より高精度な性能を求めていくなか1974年からはアーク溶接用ロボットに絞って開発を進め、オイルショックの苦しい経営状況のなかでも研究開発に励みました。1977年に日本初の全電気式産業用ロボット「MOTOMAN-L10(モートマン)」を発表しアーク溶接作業用として自動車部品メーカーの萬自動車工業(現 株式会社ヨロズ大分)に4台を納入しました。これが本格的な自動車市場参入への足掛かりとなりました。

    • VS-616T
    • ベクトル制御ドライブVS-626TV(1979年)
    • 連鋳設備用交流ドライブ
    05

    世界初のベクトル制御の達成

    1960年代後半からインバータドライブの研究を進め、小容量の高速モータに適した高周波インバータの製品化に成功すると、1974年に、小形汎用指向のトランジスタインバータVS-616Tが完成し製鋼用圧延機駆動用や合繊機械用などに使われていきました。お客さまから高評価を得ると米国市場を開拓する強力な武器となりました。また、1970年代のはじめ頃、“ベクトル制御”の要素技術の研究を始め、高精度トルク演算を実現しました。世界で初めてベクトル制御を採用したVS-626TVは製鉄所の連続鋳造設備を全交流化し、従来の直流モータによる運転を一新させました。その結果モータの保守が容易となり設備全体の信頼性を高め主軸ドライブのAC化を果たしました。

    • ACサーボドライブ
    06

    ACサーボの製品化

    1970年代後半以降、NC工作機械の駆動のほとんどがDCモータであり、DCサーボのトップメーカーとしての地位を築いていましたが、ACモータによる駆動制御が市場の大勢になろうとしているなか、当社も急激な方針転換を行いそれまでの蓄積を生かし、ACサーボの製品化に乗り出すことになりました。そしてACサーボ市場においても、高信頼のメカトロシステムを構成し、確固たる地位を築いていきました。1992年からはΣシリーズとして発売開始を開始し現在の主力製品へと続いていきました。

    • 高炉電気室のメモコン-2000
    • モーションパック33
    07

    モーションコントローラ領域の創出

    ミナーシャモータの発明をベースに、1軸ごとのモーションを自由に組み立てることのできる位置決め用コントローラの開発を進め、きめ細やかなモーションの分野に乗り出しました。1982年には汎用化したモーションコントローラ(モーションパック)を販売しました。一方、1960年代から特定の機械ごとに設計した専用機として開発していたメモコンは、モデルチェンジを繰り返し米国機械市場にサーボモータを売り込む武器となり、世界をリードするエポックメイキングな製品となりました。お客さまの機械を理解してその専用ソフトを開発することでサーボの開拓が一挙に進みました。当社はこのように、いまでは一般化したモーションコントローラという独自の製品領域を作り出しました。

    • YASNAC3000
    • YASNAC3000内蔵の基板
    • CNC「YASNAC」
    08

    CNC「YASNAC」の開発

    1970年代にマイクロコンピュータを搭載したCNCを開発し1976年には「YASNAC」として発売しました。技術面で業界のトップレベルに躍り出て、輸出に活路を求めた工作機械に搭載された当社のNCは大いに伸びて、オイルショックによる経営不振時代の社内を活気づかせました。1990年代まで開発を続けたものの、資金面による開発の停滞で、新規開発投資を断念しPLCやNC事業の縮小を決定したことで残念ながら表舞台から消えていきました。

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