新製品2009年1月15日
株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)の産業用ロボットは、ロボットが使用される各用途に最適設計することで、高度な顧客要求に応え高い評価を頂いています。このたび、世界初となる7軸構成の新形スポット溶接最適化ロボット「MOTOMAN-VS50」を開発・製品化し、2009年1月21日より販売を開始します。
市場の小型車ニーズの高まりへの対応で、自動車業界では更なる生産性の向上が求められています。そこで、スポット溶接ロボットシステムにおける生産性の向上、溶接設備の高密度配置によるショートプロセスラインの実現を可能にする「MOTOMAN-VS50」を開発しました。
「MOTOMAN-VS50」は、世界初のロボット姿勢の7軸制御によって姿勢自由度をより拡大したほか、溶接用装備ケーブル・ホース類をロボットに完全内蔵しました。また、一般のスポット溶接ガン以上の性能を有する超小形ガンの開発・搭載によって、ワークやロボット同士の干渉レス動作、接近配置に加え、低い姿勢、狭い空間への進入が可能で、従来必要としていたピット(*1)や広い設置面積を要するロボット配置が不要、工程の統合化などが可能になりました。
従来からの6軸タイプのスポット溶接最適化ロボットに加え、新形7軸タイプのスポット溶接最適化ロボットを新規機種として市場投入し、スポット溶接用途ロボットの更なるシェアアップを図ります。
(1)7軸構成によるロボット姿勢の自由度拡大で、干渉レス動作を実現
ロボットの下アーム部に7軸目(E軸)を設けた世界初となるスポット溶接最適化ロボットを実現しました。この7軸制御によるロボット姿勢の自由度拡大で、アームの回り込み姿勢やスポット溶接ガン位置を固定したままでの自由な姿勢変更、低いロボット姿勢が取れます。(図1参照)ロボットアームとワークの干渉や、複数台設置のロボット同士の干渉回避が容易にできるほか、ワークやロボット同士の近接配置、ワークの低い・狭い場所への進入も容易でピット(*1)が不要になります。また、従来の生産工程を高密度配置によって統合し、ライン長の短縮化(ショートプロセス化)が可能です。(図2参照)
(2)小形・軽量のスポット溶接ガンの搭載に最適化
「MOTOMAN-VS50」は、可搬質量50kgで繰り返し位置決め精度±0.1mmと高精度です。7軸制御によるロボット姿勢の自由度拡大、最大リーチ1630mmの広い動作範囲、動作速度の高速化を実現しました。併せて、ロボットアーム先端に搭載されるスポット溶接ガン(図3参照)は、小形・軽量でありながら、一般のスポット溶接ガン以上の加圧力(ワークを挟み込む力)を持ち高張力鋼板(*2)へも対応しています。小形・軽量・高加圧力のスポット溶接ガンの搭載により、干渉低減による高密度配置や対応鋼板拡大での作業性向上を図りました。このスポット溶接ガンは、当社が得意とするモータ技術により、スポット溶接ガン専用設計のアクチュエータ開発で実現しました。
(3)溶接用装備ケーブル・配管類をロボットに完全内蔵
今回下アームに追加した7軸目(E軸)からアーム先端部の各アーム駆動軸には、当社開発のモータ・ギヤ・センサ・ブレーキを一体化した中空のギア一体形アクチュエータを適用しています。(図4参照)この中空構造によりスポット溶接ガン用のケーブル・配管類を全てロボット内に内蔵できます。これにより、干渉低減・高密度配置・作業性向上のほか、ケーブル・配管類の挙動スペース不要・寿命延長などに寄与します。
自動車業界向けのスポット溶接用途
(1)販売開始 2009年1月21日
(2)販売計画 1000台/年
(3)販売価格 590万円/セット(税込み) *スポット溶接ガンは含みません。
〔ロボット本体、ロボットコントローラ、プログラミングペンダント他〕
【語句説明】
*1:ピット
ワークの底面や低い個所への作業を可能とするため、床面を掘り下げロボットなどの生産設備を設置するために作られた穴や溝のこと。
*2:高張力鋼板
一般的な鋼板よりも強度(引張り方向)を向上させた鋼板で、自動車ボディなどの鋼板を薄くでき軽量化が可能だが、スポット溶接時には高い加圧力が必要となる。
- 参考図 -
- お問い合わせ先 -
株式会社 安川電機 ロボット事業部
事業企画部 課長補佐 安高(あたか) 博之
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