高瀬善康 濱辺恭将 ゼイ恒彬 森本進也 東川康児
技術開発本部 基礎技術開発統括部 ドライブ技術開発部
2021年9月30日
埋込磁石型同期電動機(IPMSM)は小型高効率という特長から,電気自動車や産業機械等の様々なアプリケーションに広く適用されている。しかし近年では,IPMSMの小型化・高トルク密度化が加速することによって,磁気飽和に起因するトルクの非線形性が増し,特に高負荷領域や高速領域において正確なトルク制御を行うことが難しくなってきている。
当社は,この問題を解決するため,新しい磁束オブザーバを用いた高精度トルク制御技術を提案する。この技術は,強い磁気飽和を有するIPMSMに対し,全駆動領域における正確なトルク出力を実現する。またトルクの非線形性を補正するための大規模なルックアップテーブルを必要としないため,組込みソフトウェアへの実装が容易という特長もある。
本稿では,提案するトルク制御技術の構成,特長,従来制御方式に対するトルク精度の改善効果を述べている。
なお,本稿は2021年電気学会産業応用部門大会発表論文「軸間干渉インダクタンスを考慮した磁束オブザーバによるIPMSMの高精度トルク制御技術」を再編したものである。
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