新製品2005年6月13日
株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)は、マトリクスコンバータ方式の高圧モータのドライブ装置を開発しました。電源回生機能を有し、かつ電源波形・出力波形とも正弦波であるため、あらゆる高圧モータドライブに適用できます。2005年9月21日から製品販売を開始します。 |
高圧ドライブ装置(マトリクスコンバータ方式) |
1.製品化のねらい
装置の高性能化、省エネ効果などから、高圧ドライブにおいてもインバータの適用が拡大しています。しかしながら、頻繁な加減速運転を行う用途では、モータ減速時の回生(発電)電力の処理のためにPWMコンバータなどが別途必要となり、設置スペースや電圧波形歪みによる電源高調波、モータサージ電圧が適用時の課題となっていました。 |
2.主な特長
マトリクスコンバータ回路の直列多重化により、交流電源からモータを駆動するための電圧を直接出力します。また、モータからの回生(発電)電力を電源に戻すことが可能です。 |
(1) |
電源回生機能とPWM制御により、ダイナミックな加減速運転や応答性の良い運転が実現できます。 |
減速時のエネルギーを電源に戻すため、可変速運転が自在に行えます。これによりダイナミックな加減速運転や、応答性の高い加減速運転が実現できます。また、減速時のエネルギーを電源に戻すことで、大幅な省エネが可能です。 | |
(2) |
電源、モータの電圧・電流が正弦波です。 |
電源高調波対策、モータサージ対策などが不要です。 | |
(3) |
オール・イン・ワンで省スペース、省配線に寄与します。 |
高調波対策機器、制動ユニットなどの周辺装置が不要です。さらに、入力トランスを内蔵しており、省スペース化、配線コスト低減が図れます。 | |
(4) |
低速の重負荷運転が可能です。 |
インバータドライブにおいて低速で重負荷運転を行う場合、動作原理から装置容量にマージンが必要でした。本ドライブは交流電源から交流電圧を直接出力することで、装置容量にマージンは不要です。低速で重負荷運転を行う用途に最適です。 | |
(5) |
高力率、高効率です。 |
力率は0.95以上、効率は約97%で省エネに貢献します。 | |
(6) |
主回路電解コンデンサレスです。 |
主回路には代表的寿命部品の電解コンデンサがありません。省メンテナンス、信頼性向上に寄与します。 | |
(7) |
PLC機能搭載です。 |
PLC機能により、インテリジェントな運転が可能です。 |
3.主な用途
(1) | 鉄鋼プロセスラインなど、重負荷で回生電力が大きい用途 |
(2) |
製紙、フィルムラインの巻き出し機など、長時間回生が続く用途 |
(3) |
ボイラ用ブロアなど、加減速応答性が必要な用途 |
4.販売計画
(1) | 販売開始: 2005年 9月21日(スタンダード用途) 2005年12月21日(ハイパフォーマンス用途) |
(2) |
販売計画: |
(3) |
製品シリーズ: |
【文中語句の説明】
*1:マトリクスコンバータ | |
交流電源から交流電圧を直接出力するパワー変換装置。インバータは交流電源を一旦直流電圧に変換し、この直流電圧から交流電圧を出力しています。 | |
*2:電源回生 | |
減速時、モータは発電機として動作します。このとき発生する電力が回生電力です。 この回生電力を電源に戻すことが電源回生で、省エネに寄与します。 インバータドライブでは、回生電力は内部過電圧の原因になるため、減速を緩やかにして回生動作とならないようにするか、別置のPWMコンバータなどで電源側に戻すことが必要です。 |
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*3:電源高調波 | |
商用電源の正弦波(基本波)に対するの歪みの度合いです。この歪みを生じさせる電流が電源高調波電流で、周辺機器に影響を与えないようにガイドラインが設定されています。 | |
*4:モータサージ電圧 | |
電力制御でパワーデバイスをスイッチング動作させるとき、モータに発生するサージ電圧です。モータサージ電圧はモータの絶縁劣化を生じさせます。モータに供給する電圧を正弦波化することで解決できます。 | |
*5:直列多重形高圧インバータ | |
トランスによって絶縁された低圧インバータを直列に接続して高圧化したインバータ。 モータ減速時の回生(発電)電力は処理できません。 |
[お問い合わせ先] |
株式会社 安川電機 |
システムエンジニアリング事業部 |
システム工場 生産部 応用技術課 |
課長補佐 大山 哲生 |
Tel.(0930)25-2279 |
Fax.(0930)23-2096 |
E-mail.otetu@yaskawa.co.jp |